明治初年創業   

 香川県西讃地方では江戸時代から人形つくりが盛んで、節句人形・市松人形・張り子虎などが多くの店で作られていました。  田井民芸は前身を田井人形店として明治初年に創業し、主に市松人形・張り子虎・その他節句用品を製造販売をしておりました。
 張り子虎は、百獣の王である虎の武勇にあやかり、男子が健やかな成長を祈る気持から、節句の縁起物として古くから愛用されておりました。特に、戦後のベビーブーム時代には、西讃地方の男の生まれた家には、必ずといっていいほど、「張り子虎」が贈られ、節句には飾られておりました。
 時代の変遷に伴い、市松人形などの張り子人形の需要は減少し、「張子虎」「獅子頭」を主に製造するようになり、昭和46年店名を「田井民芸」に変更しました。


先代 伝統工芸士 田井清巳

先代田井清己は学卒後、父惣四郎の営む「田井人形店」で伝統の技術を習得するとともに、他同業店での住み込み職人としても更なる技術習得に努めました。

 昭和60年「多年張子虎製造技術の研鑽に努め郷土民芸の伝承と保存に寄与された功績が顕著である」として、県知事表彰を受賞しました。
 平成5年、第48回国民体育秋季大会開会式に列席されるため来県された天皇陛下が栗林公園・商工奨励館を御視察された際、張り子虎の製作実演を御覧いただきました。
 こうした実績が認められ平成6年に創設された香川県伝統工芸士に認定されました。

先代田井清己より技術を学ぶ田井艶子

作:田井清己


 香川県伝統工芸士とは
 (平成6年度創設)
1 目 的

 県指定の伝統的工芸品の製造に従事している技術者のうち、高度な技術・技法を保持する者を香川県伝統工芸士として認定することにより、その社会的評価を高め、伝統的な技術・技法の維持向上と技術修得意欲の高揚を図り、もって後継者の確保と工芸品の次代への継承に資することを目的とする。

2 認定の要件
 県指定伝統的工芸品の製造に従事している者のうち 
 @ 高度の技術・技法を有していること。
 A 実務経験年数が20年以上(著しく技術が優れている場合は12年以上)あること。
    現在も直接製造に従事していること。
 B 伝統的工芸品の振興事業の推進に貢献していること。
 C 高潔な人格を有すること。

3 認定の方法
 市町又は法人格を有する組合からの推薦に基づき、書面、現地調査等を行ったうえで、「香川県伝統的工芸品産業振興協議会」の意見を聴き、知事が認定する。 なお、認定者には、認定証と伝統工芸士章(盾)を交付する。


伝統工芸士章(盾)
香川県伝統的工芸品
 古くから海上交通の要衝として開けた香川県には、豊かな風土の中で育まれ、人々の手から手へと受け継がれてきた伝統的なエ芸晶が数多くあります。これらは、天然の原材料を用い、昔ながらの技術・技法により作られているもので、今日でも生活の場で愛用され、人々に安らぎと潤いをもたらしていま。県では、これらの、全国に誇りうる伝統性のあるエ芸晶を「香川県伝統的工芸品」として指定する制度を昭和60年度に設け、現在は37品目を指定しています。指定品目には、製品に県指定の伝統的工芸品であることを示すマークを表示し、その普及に力を入れています。  
指定マーク 
(香川県伝統的工芸品のパンフレット)   

 「張子虎」は昭和60年度に指定された第一次指定23品目の一つで、先代田井清巳が製作者の一人として登録されました。
  
伝統工芸士 田井艶子




 当工房田井艶子は、香川県伝統的工芸品である「張り子虎」製作技術を先代田井清巳より継承し、製作に励んでおりました。その実績が認められ、平成19年2月、他4名の方々と共に平成18年度香川県伝統工芸士として認定され、真鍋香川県知事より認定証と伝統工芸士章(盾)が授与されました。
[ 香川県伝統的工芸品のHP ]

伝統工芸を次世代の子供達に

 香川県西讃地区では男児が生まれると、逞しく元気に成長するようにと「張り子虎」を贈り節句に飾る習慣がありました。昭和時代、多くの家庭には”張り子虎”が保存されていたものでした。しかし近年の住宅事情や生活習慣の変化に伴い、この習慣もあまり見られなくなりました。当工房 田井艶子は、こうした西讃地区に伝わる伝統工芸品が忘れ去られることのなく、後世に伝えられるよう、次世代を担う子供達に伝える活動を行っております。

 三豊市教育委員会より、三豊市立三野津中学校非常勤講師の辞令を受け、「張り子虎」の習慣を説明し、工房で製作した型を使用しての絵付け体験を行なう図工の授業を実施しております。
 いつの時代も子供達は図工が大好きで、子供達は目を輝かしてただ一つの「My虎」作りを行っております。やはり顔を描くことが難しいようですが、出来上がった豆虎を見てみると、どれも子供らしい表情が表現されています。
 出来合いのものを購入したのではない自分自身で製作した「張り子虎」は、愛着がわくらしく互いに感想を述べ合い賑やかに授業を受けておりました。「自分で描いた張り子虎」は、きっと自宅の机の上で子供達の成長を見続けることでしょう。